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サボテンとサティ
「Let's SATIE!」
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M.bros

「目覚める」【加藤 彰(ニュー・ミュージックマガジンより)】1993

昨年は少年ナイフについて人と話す機会が少なくなかったが、そうした際に「サボテンは聞いていました」と、よく応じたものだった。。まあ較べてどうのというよりはたまたまに過ぎないのだが、彼女たちの真摯だが深刻ではない姿勢に共感を抱いていたのは確かなことだ。
少年ナイフと同じく80年代初頭のいわゆるインディーズ黎明期から活動するこの女性3人組は、アルバムとしては10年ぶりの本作で、実にかつてとほとんど変わらないやり方で音楽に生命を吹き込んでみせている。
リズムやテンポが意外なほど変わる曲をたどたどしくも坦々と演奏するところから現れてくる奇妙な表情。偶然ダブとでもいうような音のつまずきが与える明るい空虚感。静寂と喧噪とが同居しているかの雰囲気は、どの曲からも感じられる。
なるほどそういえば、一見すると何もない広大な砂地の中でどこからか水分を吸い寄せてじっと立っている棘をまとった植物のたたずまいが、浮かんでくるかのように思える。
収録されているのは全部で9曲。うちの3曲は以前の作品を録音し直したものだが・アレンジを変えてはいない。エリック・サティの曲もやる彼女たちの嗜好をうかがわせるのは8曲目「自転車」あたりだろうか。
「Non Position」【小野島 大(レコードコレクターズより)】2002
80年代前半の代表的ギャルバンで、現在もなお活動をつづけるサボテンが、82〜85年の音源をほぼ網羅したコンピをリリース。未発表テイク1曲、未発表ライヴ2曲、「プチセブン」ラジオCM曲なんてものも入っている。
大仰なドラマなどまるでないまま淡々と進行する演奏は一種のミニマリズムとも言えるが、シンプルきわまりないスカスカの音空間は、意外なほど表情豊かで、そしてどこか歪んでいる。年代順の収録だが、ファニーでストレンジな感触は変わらない。さりげない、だが揺るぎない個性と言えよう。
「Non Position」「つづく夢」【宇波 拓(ロック画報 08より)】2002
突然段ボールの妹分的な存在として知られるサボテン、82年のファースト・アルバムを中心にこれまでの未発表曲ほぼすべてを含む作品集と、10年ぶりの新作とがあわせてリリースされた。
尊敬すべき拙さとたどたどしさを有したバンドである。たしかにいわゆるレコメン系の影響が色濃く、マサカーをほうふつとさせるアレンジもあるし、サティのカバーといったってZNRがいるではないかという声もあろう。とはいえこの他に類を見ないヘナヘナ加減にこそ感服すべきだ。アレンジが研ぎ澄まされ、ギター、ベース、ドラムスの骨組みがよく見えるのはよけいな技術がないからかもしれない。かといってローファイとも異なる。楽器の下手さを売りにするのではなく、むしろそれぞれのラインの関係を、丁寧に練り上げているような手触りが感じられるのだ。
サティの小品集「スポーツと気晴らし」のカバーは特にすばらしい。サティ演奏にありがちなスノッブな要素は排除され、あくまでクールに淡々と演奏することによって、作品本来の持つシンプルな構成とエスプリとを最大限に引き出している。サティ本人が聴いたら、これが正解と言うのではなかろうか。
そして、ファーストから20年を経た新作にしてなお、その持ち味をまったく失っていないのは驚きだ。隙間の多いアレンジ故、仕掛けに満ちた曲でもむしろストレートに楽器の音が響いてくる。歌謡曲の如きメロディーが顔をのぞかせたり、室内楽が試みられていたりと、そのドライなユーモアにもさらに磨きが掛かっているようだ。2枚とも、果敢な実験精神と優れたポップ・センスとを兼ね備えたロックの快作である。
「Non Position」「つづく夢」【行川和彦(ミュージックマガジン 7 より)】2002

サボテンのCDが2枚出た。まず「サボテン〜ノン・ポジション」は、サティのカヴァー以外の85年までの全音源を収録し、フレッド・フリスのプロデュースのテイクやライヴなどの未発表ものも含む。ユニークなリズムのスカスカしたポップな音としっかりした骨格の曲はポスト・パンク的だし、スリッツと赤痢のミッシング・リンクとも言えそうで、ホントに新鮮である。
詳細な年表付の25曲入り。
また「つづく夢」は10年ぶりの新作アルバムだ。元ミスター・カイトの宮川篤志がドラムを叩いて歯切れがよく、いい意味で洗練されて、さらに艶っぽいサウンドとなった。瑞々しい空気感が変わってないのは驚きであり、当然でもある。

「サボテン」【牛戸 圭一(DOLL増刊 パンク天国 4より)】2002
サボテンは81年結成のガールズ・バンド。フレッド・フリス・プロデュースのコンピに参加したり、E・サティのカヴァー集に参加(ロル・コックスヒルとの共演)したりとその活動は様々。突然段ボールの蔦木栄一プロデュースによるこの1stアルバムはその音数の少なさゆえ、引き算の美学とも言える好盤。サティのカヴァーも多数収録。CDは現在廃盤だが、近々再度CD化される予定。断続的に活動を続けていたが、先頃新生サボテンが結成され新作にも意欲的である。
「いつもある」【牛戸 圭一(DOLL増刊 パンク天国 4より)】2002
84年に発表されたセルフ・プロデュースによる4曲入りシングル。代表曲「島の生活」収録。Voの松本里美(銅版画家としても活躍中)の理想の生活を歌ったものだというが、島特有の時間軸を再現したようなサウンドが心地よい。お気に入りと見えて92年発表の2ndアルバム「目覚める」でもリメイクされている。アルバム同様サティの「スポーツと嬉遊曲」からのカヴァーも収録。持ち前のポップさからか難解になることなくうまく消化されている。CD化の予定もある。

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